かー先生の保育士ブログ

現役保育士11年目の私が保育の役に立つ知識、書類作業のテクニック、子どもや保護者の方との関わり方など今までの経験や学んだことを元に情報を発信していきます。

【育児担当制】乳児保育について①

こんにちは!

担当制保育は近年よく聞くようになりましたよね。

重要視されていますが、実践的な内容は詳しく広がっていません。

今回は【育児担当制による乳児保育 子どもの育ちを支える保育実践】の書籍を参考に

担当制保育についてお話していこうと思います。

 

【育児担当制だからできる!】

・一人ひとりの子どもに丁寧に関われる

・子どもの気持ちが満たされて、安定して過ごせる

・担当制保育者と子どもがしっかりと愛着関係を結ぶことができる

・生活の見通しがもてるので、子どもの主体性が育まれる

・子どもが基本的生活習慣を確実に自分の行為として獲得する

・社会情動的スキルを身に付けるための確かな基盤をつくる

 

 

3歳児未満児の保育に求められるもの

これまでの保育所保育指針に示された子どもと保育者の関係性に関する記述

1990 特定の保母と子どもとの情緒的絆の重要 (6ヶ月未満)

1999 担当制を取り入れる (6ヶ月未満)

     愛情豊かな特定の大人との継続的・応答的関わり

2008 柔軟なかたちでの担当制の中で特定の保育師等

    (3歳未満児 保育所保育指針解説書)

2018 特定の保育士等が子どもとゆったりとした関わりをもち、情緒的な絆を深る                   

     「緩やかな担当制」

上記を見ると、3歳未満児の保育では、「担当制」という言葉は一般的なものになっていますね。

しかし、保育所保育指針では特定の保育士が「どのように」援助を行うかについては書いていません。「担当制」の実施にあたっては、保育士、保育園の解釈によって様々なスタイルの「担当制」で保育が行われているのが現状です。

担当制保育について保育現場での現状

 3歳未満児の保育では「担当制」は当たり前と捉えられているにも関わらず、実は様々な方法による担当制が行われています。

どんな形態の担当制であれ、保育士なら「一人ひとりの子どもにゆったりと関わりたい」と願っていますよね。

しかし、食事、着脱、排泄など生活面で必要な援助が多く、保育者がテキパキと慌ただしく援助を行っています。

保育者が一人ひとりに丁寧に援助を行いたいと思っても、複数の子どもが一斉に同じ行動をする場合、慌ただしく目の前の子どもを援助せざる得ません。

「保育の理想は担当制。でも実際はとても難しい」ということになってしまいます。

 

育児担当制とは

育児担当制の定義

 保護者と離れ長い時間を保育所で過ごす子どもにとって、保育者と保護者と同様の愛着関係を結ぶことは非常に重要になります。

 日常的に行われる着脱、排泄は保育者と子どもが一対一で関わる貴重な場面です。

生活援助は、日常動作であるが故、あまり意識をおかずに行われがちです。

しかし、日常的に繰り返し行われる行為こそが、子どもにとっての反復学習となります。

 育児担当制では、生活場面における子どもの動作を細かな行為の流れと捉え、

どんなに幼くても子ども自信ができることを尊重し、できないところを保育者が援助します。

様々な担当制の援助の違い

・グループ担当制

 一つのクラスを月齢で大別し「高月齢」「低月齢」で過ごすなど、1グループ子どもの人数が10人を超えるものから、5〜6人で一つのグループをつくるものまで、人数規模は様々です。

遊びでも生活でもグループ単位の行動となるため、それをリードするのは保育者の役割です。

子どもの一日の生活は、グループの生活の流れに沿って進みます。

 行動がグループ単位なので、子どもがグループの流れに適応することになる反面、

グループの流れが一人の子どもの状態に適応するわけではありません。

・場所の担当制

 複数の保育者がそれぞれ担当する役割(リーダー、サブ、雑用など)に基づいて、トイレや着替えなど担当する場所に就きます。

こうした役割分担では、子どもが集団として動くことが前提となります。

子ども全員の生活は、一つのクラスの生活の流れに沿って進みます。

子どもにとって、様々な場面で複数の保育者が関わるため、「いつも違う」ことが起き、

「いつも同じである」ことで得る安心感や見通しをもつことが困難になります。

・グループ担当制と場所の担当制の比較

保育士の援助についてグループの担当制と場所の担当制に大きな違いはない。

「動作」「言語(声かけ)」「視覚(見せる)」で見たところ、保育者の「動作」による援助の出現率が高いく、「視覚(見せる)」での援助が極めて少ないことが共通していました。

 つまり、保育者がテキパキと動いているけれど「視覚(見せる)」を用いて

子どもの理解を促す援助が極めて少ないということです。

グループ担当制や場所の担当制では、大人のペースで援助が進められていることが危惧されました。

 グループであれ、全体であれ、複数の子どもが同時に同じ行動を取る場合、保育者の援助は慌ただしものになります。

 テキパキと進められる援助を受けるということは、まさに「受け身」となり、受動的立場に立つこととなります。

3歳児未満児では、受動的立場に立ちやすくなるからこそ、主体として行為に参加することが大切です。

・育児担当制とグループ担当制・場所の担当制

 「援助の回数」を見ると、グループ・場所の担当制の方が回数は多いが、

援助の「言語と動作の一致」を見ると、育児担当制の方が顕著に多いという結果がありました。

 「言葉と動作の一致」は保育者の動作に言葉を添えて行うものです。

子どもの関心を、今行われている動作に向け、言葉の理解を促すものでもあります。

 グールプ担当制・場所の担当制では、保育者がテキパキと援助を行うけれど、

子どもに対する言葉がけと保育者の動作が一致することは少なく、一人の子どもに対して、子どもが理解できるように丁寧な保育が行われているのは難しいと推察されます。

 一人ひとりに対する丁寧な援助とは、保育者からの一方的なものではなく、

子どもと保育者の双方的な「やりとり」によって成立するものです。

子どもから発せられる言葉以外のサインをキャッチするには、常に特定の保育者が子どもと関わることを通した「子ども理解」が必要です。

育児担当制は、子どもの発信に対する応答性が高く、一人の子どもに対して確実に援助を行うことができます。

 

乳児保育の現状と課題

3歳未満児の保育の現状

・保育方法

 3歳未満児保育の課題の一つに、0.1歳児であってもクラス集団で一斉に一つの遊びに取り組み、食事や排泄といった生活援助も同じ時間に子どもが全員が一斉に行うという保育が行われていることが少なくありません。

3歳未満児の保育はニーズ先行で拡大してきましたが、その時代の3歳未満児の保育方法に関する研究はほとんどなく、実践者の試行錯誤によって保育が行われてきました。

そうして中で、幼児クラスの保育スタイルがモデルとなり、一斉方式の保育が定着したのではないかと推察されます。

しかし、1965年のソビエトでは既に生後2年から行われる小グループでの課業は、少人数で行い、大人主導の教授的遊びを全グループ一斉に行うべきではないとも明記されています。

 

3歳未満児の保育の課題

・3歳未満児の発達に適した保育方法の確立

保育施設の役割は、子どもの発達を発達を保障すること。そのためには、子どもの発達に応じた形態と活動が求められます。

3歳未満児の発達を踏まえた遊びや生活が、幼児期の子どもと異なることは当然で、

0歳からの発達のプロセスを確実に歩めるようにすることは大切です。

それのプロセスを丁寧に援助するための保育方法を確立することは大きな課題です。

 

子どもの発達特性と望ましい保育

3歳未満児の望ましい保育

愛着の形成が情緒の安定に繋がり、それによって周囲に興味関心を向けます。

それが意欲となり、子どもは周囲の環境に働きかけます。

この働きかけこそが、子どもの直接的経験であり、子どもの発達を支えます。

一人ひとりの発達に応じた援助は、生活行為の中で、子どもが自分で出来ることを自分で行い、

出来ないことを助けていく、その繰り返しによって徐々に新しい動作が出来るようになり、新たな行為を獲得して行きます。

その積み重ねが、基本的生活習慣の獲得を支えるのです。

子どもの遊びは、子どもが環境に働きかけることから始まります。

保育者は、発達に応じ環境を整え、遊びを見守り、必要な時に手助けする援助が求められます。

3歳未満児の保育では、まず何よりも愛着の形成が求められます。

愛着は、特定の大人、つまり保育者との間に結ぶものです。

単に長時間一緒に過ごすことではなく、特定の大人が一貫して関わることによって築き上げるものです。

頻繁に行われる生活援助(食事・排泄・着脱など)を特定の保育者が日常的に、いつも同じように行うのが育児担当制です。

特定の保育者による日常的な関わりを通して愛着を形成し、子どもの情緒が安定し、安心して遊びや生活が送れます。